御開帳の企画展で長野へ 波田「股くぐりの仁王尊」
東筑摩郡波田町で「股(また)くぐりの仁王尊」として知られる県宝の木造金剛力士像2体が4-5月、長野市の善光寺御開帳に合わせて開かれる「いのりのかたち-善光寺信仰展」(信濃毎日新聞社など主催)に出品される。「善光寺仏師」を名乗った鎌倉時代の妙海の作品として、会場となる県信濃美術館が町に出品を依頼した。地元は、毎年4月の「股くぐり祭」を、展示後の6月に延期すると決定。「信仰展で多くの人に仁王尊を知ってもらい、本番の祭りにも足を運んでほしい」と期待している。
金剛力士像は鎌倉時代の1322年作。妙海の出身や人物像は定かではなく、作品も金剛力士像のほか日光・月光菩薩(ぼさつ)像など計9体が中南信で確認される一方、善光寺や周辺では見つかっていない。
金剛力士像は、江戸時代に「信濃日光」と呼ばれ同町に跡が残る古刹(こさつ)「若沢寺(にゃくたくじ)」の末寺に置かれた。その後上波田地区の現在地に移され、明治初期の廃仏棄釈も免れた。
仁王門右手に阿形(あぎょう)(高さ256センチ)、左手に吽形(うんぎょう)(同260センチ)が並ぶ。「股をくぐるとはしかにかからず丈夫な子に育つ」との言い伝えがあり、地元の上波田高齢者クラブが毎年4月上旬の土日に「股くぐり祭」を開催。家族連れが訪れ、幼児らがおそるおそる阿形の仁王像の股をくぐる光景が風物詩となっている。
4月4日から5月31日まで開く善光寺信仰展は、宗派を超えて広まった善光寺信仰にゆかりある仏像など県内外の約60点を、同寺に隣接する県信濃美術館に展示する。金剛力士像を所有する町教育委員会は、昨年末に同美術館からの出品依頼を受け、「全国に股くぐり祭を発信するチャンス」と引き受けた。上波田高齢者クラブは股くぐり祭の開催日を6月13、14日に延期する方向で検討している。
信仰展では4月11日に股くぐりの体験会を実施する予定で、今後希望者100人程度を募集する。「当日は美術館へ駆け付け、体験者が円滑にくぐることができるようお手伝いしたい」と、同クラブの古波田典男会長(80)。同美術館学芸員の木内真由実さんは「金剛力士像は妙海が手掛けた作品の中でも大作で、アーティストとしての力量を示している。地元で親しまれている点も魅力」と話している。
